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2020年03月02日
【父と息子のポケ活】ボックス満タン!大好きなキャタピーまみれの生態系⑮

前回までのお話はこちらから!

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博士にポケモンを送る

Y字型の分かれ道
自動車用のカーブミラーには、上を見上げる息子の、珍妙な困り顔が写っています。

「……たぶん、あっちかな?」
「素直に迷ったと言って?」

アイテム集め(兼ジム攻略)の帰り。
道なら僕に任せて! とかなんとか言っていた息子ですが、ものの見事に迷いました。

見知らぬ住宅街は迷路のように入り組んでいて、似たような景色と合間って、息子の拙い方向感覚を、完全に破壊したようです。

さて、そろそろスマホの電池も怪しい頃ですし、私の出番のようですね。
よくやった!息子!交代だ!

私は息子からスマホを借り受け(一応書いておきますが、私のスマホです)駅に向かって歩き始めました。

『息子が、ポケモンGOで1番ぐずった時のお話』



「すごい! おとうさん、ちゃんと着いた!」
「すごかろう?」

心の中でお礼を良いながら、スッと起動中のアプリを消します。
ありがとう。Go○gle Map
いつも君には助けられているよ!
通いなれた道まで戻ったところで、スマホを息子に手渡します。

あ……
「ごめん、息子。 ロックかけたままだった。 一度スマホ返して」

最近、私の寝ている間にスマホをいじる娘対策として、新たにロックをかけたこと思い出します。
指で線を書くパターンタイプのロックですね。

普段は外してから渡すのですが、うっかり画面を閉じてしまったため、再度ロックがかかって……
「だいじょうぶ! 僕、自分では外せるから!」

すらすらと点を繋ぎ、あっさりとロックを外すと、慣れた手つきでポケモンGOを起動し……
いや、まて……

「息子?息子? なんでロック外せるの?」
「前に、おとうさんが外してるの見たの覚えてた!」

そういう洞察力と記憶力を、別のところでも発揮してくれないものか?
単純なパターンにしていた私も良くないのですが……

「あっ!おとうさん! 珍しいポケモンがいたよ! すっごく欲しいのいた! 捕まえて良い?」
「いいけど、何出てきたの?」
「キャタピー!」
「珍しいかは分からないけど、他に欲しいのいないの?」
「今はいない!」
ご自由にどうぞ。



息子は、ボックスにいる2匹のトランセルの為、迷わずキャタピーをタップしています。
……が

「あれ?あれ? GET出来ない? おとうさん、スマホおかしいよ?」
スマホのせいにするの早すぎない?

そう思いつつ画面を覗くと、息子は何度もマップ上のキャタピーをタップしています。

タップされたキャタピーは素知らぬ顔で道を占拠し(?)続けたまま、画面の真ん中には、警告文が表示されています。

『ボックスがいっぱいです』

「あ、息子、それはー」
「おとうさん……もうだめだ。スマホが壊れてる……」
壊れてる認定、早すぎない?


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再度、息子からスマホを借り受け(しつこいようですが、私のスマホです)ポケモンボックスを開きます。

『ポケモン 300/300』

「う~ん、居るね」
息子の超が付く程のマイペースでも、こつこつ集めて300匹
そこには多種多様なポケモン達がぎっしりとひしめき合っていました。

ポケモンをタップしても、GET出来ない原因はこれです。

ここまで無課金で遊ばせてもらっていた私達も、ついにボックス拡張の為の課金が必要な時期になりました。
……が、その前に

「息子、ポケモン達がいっぱい居すぎて、これ以上捕まえられないんだよ」

「そうなんだ! どうしたらいいの?」

ここからは、少し慎重に言葉を選びます。
その場にしゃがみ、目線を合わせた後、なるべく穏やかな声色で話しかけました。

「息子、ボックスの中にたくさんいるポケモンを、博士に送ろ……」
「ヤダッ!!」

……いや、ちょっと待ってください。
聞いてください。
私だって、ボックス拡張の数百円をケチりたい訳ではありません。
ケチりたい訳ではありませんが、見てください。

ナゾノクサ15本
キャタピー30匹
ポッポ20羽
コラッタ20匹
ヨーギラス20匹……

ボックス内では、生態系が完成されつつあります。
その内、食物連鎖とか発生しませんか、これ?

とにもかくにも、進化前のポケモン達が、お・お・す・ぎ・る!

こんな事では、拡張するそばから生態系ピラミッドの底辺だけが増え続け、ポッポやキャタピーに埋め尽くされたBOX内に、強個体は一握り!
……になってしまいます。

そういうプレイスタイルも面白いかもしれませんが、バトルをやりたい息子とは相容れません。

と、言うような事を訥々と説いてみたのですが……
「ヤダ!」
この頑固ちゃんめ

「でも、それだと新しいポケモン捕まえられないよ? どうするの? トランセルも、サナギラスもそのままだよ?」

「う~ん、あっ!そうだ! もう一台スマホ買ったらいいんじゃない?」
絶対、嫌だ。
リアル課金がダイナミック過ぎる。

「そもそも、どうして博士に送りたくないの?」
何となく理由は分かっていたのですが、念のため聞いておくことにしました。

「だって、博士に送ったら帰ってこないんだよ……」
息子の答えは予想通り、まだ引きずっていたのか……

数か月前、ナッシーを手にいれる為、連日タマタマを博士に送り続けていた息子。

無事、ナッシーへの進化を果たしてから数日後の事です。
「おとうさん、まだタマタマ帰ってこないんだけど」
「え? 何の話?」

私が知らない間に、ポケモンを放牧するとか、お使いに出すとか、そういう新機能でも加わったんですか?
「博士のところに行ったタマタマだよ! まだ帰ってこないのかな?」
あぁ~……なるほど……

「あのね、息子。 博士に送ったポケモンは帰って来ないんだよ」

たしかに、博士にポケモンを送ると、アメが貰えるとは教えていましたが、戻って来ないとは、伝えていなかったことを思い出します。

困惑する息子
「え? あ!迎えに行かなくちゃいけないのか!」
いや、そういうことでもないんだ。

その後、博士に送ったポケモンは何をどうやっても帰ってこない事を知り、しばらくぐずっていたものです。

階段から転げ落ちても大して泣かなかったのに……
なので、今回は言葉を選んでいたわけです。

「息子?息子? いつかはボックスいっぱいになっちゃうから、博士に送らなくちゃいけないんだよ。 それに、キャタピーのアメも必要でしょ? バタフリーに進化しないといけないし」

「それは、欲しいけど……でも、まだいい! もうちょっと待ってからにする!」
何待ち?

頑なに拒否を続ける息子。
なるほど、これが反抗期か

その後も説得を試みますが、
「い~~や~~DA~~~~」
の一点張り。

パト○ッシュ……僕はもう疲れたよ……

息子の熱意と、グダグダぶりに負けた私は、一応の解決策を教えておくことにします。

「息子、これ見て? ここにコインが貯まってるでしょ?」

画面を上にスワイプして、ショップ画面を開くと、ピカチュウの絵が刻印された金貨が50枚あります。

「うん、あるね」
「これが、200枚集まると、ボックスが大きくなるんだよ」

予想通り、途端に目を輝かせて、ぐいぐい近寄ってきます。
「えっ! 本当! どのくらい? どのくらい大きくるの?? 2000匹分くらいかな?」
近い!
あと、そんなには増えない!

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「そんなには増えないよ。 たしか50匹だったかな」
「50匹……キャタピーがあと50匹」

「おい、まて」

息子の暴走を止めてから、改めてコインの説明に戻ります。
「このコインを200個集めれば良いんでしょ? 楽勝!楽勝!」
それで楽勝だった試しが、未だかつてないんだけどね。
まぁ、コインを集める大変さが分かれば、いずれポケモン達を博士に送れる日が来ることでしょう……たぶん

「よ~し、がんばってコイン探すぞ~! どこにあるかな~?」
「まてまて、最初から間違えてる」

地面を見て歩きだす息子を、精一杯制止します。
「え? どこかに隠してあったり、埋めてあったりするんじゃないの?」
「小さ○メダルか?」

今度は、ジム防衛中のラッキーを呼び出します。
HPは、ほぼ満タンのままです。

「こうやって、ジムにポケモンを置いてくるでしょ?」
うんうん、と頷く息子
ごく稀にある、真剣に話を聞いている時の顔をしています。

「ポケモンは、長くジムを防衛すればしただけ、たくさんコインをもらって帰ってくるんだよ」
「なんで?」

え?いや、なんでと言われましても……
仕様ですが……

「え~、ジムでお仕事した分、お給料をもらってくる感じかな」
ファンタジー要素が消し飛ぶような説明でしたが、息子的には納得したようです。

「なるほど! わかった! じゃあ、ジムでいっぱいお仕事してきてもらえば良いんだね!」
概ね正解

さっそく地図を見て目的地を探しています。
「よし、あそこのジムにしよう! 今日中に200……いや、500コインまで貯めるぞ~」
それだと、100コイン余るけどね?

行動力があるのは実に良いのですが、一応注意もしておきましょう。

「ちなみに、どれだけがんばっても、1日にもらえるコインは、(約)8時間分の50コインだけだよ」

ピタリと固まる息子
「なんで?」

え?いや、なんでと言われましても……仕様ですし……
「超過勤務分は、全部サービス残業になるから、かな」
「よく、わからないよ?」

大人になったら分かるよ……

本日3戦目のジム戦
HPが、ほぼ満タンな屈強なポケモン達に挑んでいきます。

「また負けた! おとうさん、回復して!」

「良いけど、なんでカイリキー出さないの?」

「さっきのジムに置いてきた!」
本当にまぁ勿体ないことをします。

何度目かのゾンビアタックで、見事ジムを攻略することが出来ました。

「勝ったーー!! 誰を置こうかな~」
悩んだ末、ナッシーをジムに配置しています。
これで主力は、ほぼジムの防衛に回ることとなりました。

「さぁ! 次いってみよう~」
「いや、今日はもう行かないよ」
「なんでっ!?!?」
そんなに勢いよく振り返って、首痛めない?

「いや、前に置いた2匹が、合わせて6時間近く防衛しているし、何より回復アイテムも、強いポケモンも、もう無いからね?」

ぶーぶー言う息子に、スマホのアイテム欄をかざして見せます。
今日は、アイテム集めに来たんじゃなかったっけ?という疑問を飲み込み、電車に乗るため、駅に向かいます。
駅前の信号待ちの間も、何度か野生のポケモンをタップする息子。
当たり前ですが、『ボックスがいっぱいです』との警告文が出ています。

言っても無駄でしょうから、今日はこのまま放置します。
1匹1匹に愛着があるのは良いのですが、こんな弊害が出てくるとは予想だにしていませんでした。

捕獲を諦めた息子は、ジムに置いた3匹をチェック
ちょっとでもHPが減っていたらすぐに木の実を与えています。

あれ……? 今日はアイテム集めに……いえ、なんでもありません。

安定の防衛を行う3匹に満足したのか、赤く点滅を始めた電池マークに怯んだのか、珍しく息子がスマホを返してきました。

「もういいの?」
「うん! 見てると捕まえたくなるから、アイス買って帰ろう!」
アイスどこから出てきた?

コンビニで、今も大好きなパ○コを買って帰路につきます。
息子は、パピ○を2つに分けると1つを私に手渡してくれました。

「おとうさん!」
「なに?」
「ボックスってどこまでも増える?」
「いや……どこまでもは、増えないよ。 いつかは、これ以上増えませんってなる。」
「そっか~」

駅前の豪華な橋にたどり着きました。
足元の川は今日も穏やかに流れています。
先日降った雨で水量は多め。
水鳥達がのんびりと羽を休めているようです。

「おとうさん!」
「なに?」
「ボックスがこれ以上増えませんってなって、それでもポケモン欲しくなったら、博士にあげるか考えるね!」

……ずいぶん、気が遠くなる話だなぁ

「コイン集めるの大変だよ? 頑張れるの?」
「うん! もちろん!」
「楽勝?」
「ううん、がんばるっ!」

そっか。
本当に色んなプレイスタイルが……これもプレイスタイルって言って良いんですかね?
まぁ、とにかく……

「息子が、それで良いなら、がんばりなね」
「うんっ!」

橋を渡り終えます。
足元の川は、海に向かって緩やかに流れていたのでした。

「おとうさんっ!?」
「なに?」
「パピ○、服にこぼした!」
「…………お母さんに、めっちゃ怒られるよ」

帰宅後、2人揃って怒られました。

~~~あとが……き……
「うヴぁあああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーー!!!」

っ!?
自室で日記を書きながら、うたた寝していた私は、息子の悲鳴で飛び起きました。

階下からは、息子の泣き声だけが絶え間なく聞こえてきます。
明らかに、ただ事ではありません。

階段を駈け降り、リビングの扉を勢いよく開けます。

「どうしたのっ!?」
大声で、わぁわぁと泣きわめく息子
その正面では、娘がこれ以上無いくらい、ガチガチに固まっています。

「なに?どうしたの? どこか痛いの??」

泣きながら、首を左右に何度も振る息子。

「ち゛がっ……い゛も゛…………うわあああああん」
何か叫んでいますが、要領を得ません。
固まっている娘が関係していそうで……ん?
娘の足元には、充電スタンドに指しておいたはずの私のスマホが転がっています。

さては、また勝手……に……?
「うあ゛あ゛あああ……い゛もっ……いも゛うどがっ……いも゛うどがっ……バガゼッ……」

嫌な予感を覚えた私は、スマホを拾い上げます。
画面はポケモンGOのポケモン一覧……

『ポケモン 225/300』

「いもうどがっ! ……ぼくの゛ポケ゛モンをっ……ハガゼにっ……うああああああ……」

その日、疲れはてて眠るまで、息子が泣き止むことはありませんでした。

次回は『ポケモンを博士に送られてしまった後のお話』です。
どうぞ、よろしくお願い致します。

みんなのコメント
  • 名無しのメタモン ID:E0NTY

    いつも楽しみに読ませていただいてます✨
    最初の課金は ボックス拡張ですね
    懐かしい
    イベントの度に 拡張したっけ
    そして 次回は、ポケモンを博士に送っちゃった事件ですか~
    酔っぱらって 伝説のポケモン
    アメにして落ち込んだ事を思い出します?
    月曜日が待ち遠しい?

  • 名無しのメタモン ID:Q4MDk

    またまた息子くん…分かるぞ!のコーナーが来てしまったw
    最初のうちっていくらでも捕まえられるから、いざ一杯になると博士に送るポケモンめちゃくちゃ悩んだなぁ。過去の自分に個体値見て低いやつはまとめて送ってる今の自分に見せてやりたいよ。
    てか博士に送られたポケモンに主力混ざってないよね!?

  • 管理人

    みなさま温かいコメント本当にありがとうございます!!!
    パパさん、息子さんにコメントやご意見すべてお伝えしておりますっ!
    次回の展開がもう、まさに涙なくしては見れない展開に、、笑
    来週も月曜日公開予定です!よろしくお願い致します。

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